慢性疾患の中でも、糖尿病などの生活習慣病を発症すると、他の疾患につながる場合があります。糖尿病自体はすぐ死につながるような病気ではありませんが、甘く見ると取り返しのつかないことになる病気です。だからこそ、糖尿病の本質をよくわきまえて、普段から身体の状態をできる限り良い状態に保つ必要があります。そもそも糖尿病とは、すい臓でつくられるインスリンというホルモンの力が不足することによって起こる、新陳代謝の障害のことです。インスリンは、私たちが口から摂取した栄養素がうまく利用でき、十分なエネルギーが得られるように作用してくれるホルモンです。
なので、インスリンが不足すると当然、体内の新陳代謝はうまく行われなくなり、そのために血液中のブドウ糖の濃度が高くなります。ついには、尿の中にブドウ糖が尿糖として排出されるようになってしまうわけです。しかし新陳代謝の障害の方は、インスリンを体外から補給したり、抗糖尿病剤を飲めばよくすることができます。問題は、糖尿病により起こってしまう血管障害です。血管障害には大別して二つがあり、動脈硬化と細小血管症と言われる目の網膜や腎臓の毛細血管で発症する糖尿病特有の変化です。このように糖尿病は、新陳代謝病であると同時に血管病でもあります。糖尿病患者は仕事や学校といった日常生活を送りつつも、病気と関わっていく必要があります。看護師などが患者と接する際には、さまざまな心身の負担が少しでも軽減できるような心づかいを持った看護をすることが大切です。